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2010年3月17日 (水)

タイトル決定まで

写真の絞込みを経て全体の構成がまとまってきました。ここからはジェフサイドとも連携。
今回は一連のやりとりの中から、本書タイトル『chapter TWO』決定までのいきさつをご紹介します。

7月の撮影で、ジェフに「お互いにタイトル案を出し合いましょう」と告げた際、
「僕のお気に入りの言葉があって、それを引用するのもいいと思うんだよね」と言っていたジェフ。
そこで、写真集全体の流れを見てもらった上で、あらためてジェフからタイトル案をいただきました。
こちらから提出した案についても検討してもらいます。

ジェフからは、以下のような返答をいただきました。


Hey!

I found one of my favorite quotes from Glenn Gould and it foes like this:
“The purpose of art is not the release of a momentary ejection of adrenaline but rather the gradual,
lifelong construction of a state of wonder and serenity.”

– Glenn Gould


グレン・グールドの名言の中からお気に入りのを見つけてみたよ。こんな感じ。
「芸術の目的は、アドレナリンの瞬間的な放出ではなく驚きと平穏な心の状態を生涯かけて築いてゆくことにある」

                                                                                                                  
(グレン・グールド)


So as another option for the book title, I was thinking maybe “State of wonder and Serenity”.
This refers to my move from competition as more of a movement towards a new chapter rather than saying goodbye.
To wonder and pursue the future, and be at peace with this movement (which I believe to be).
Just a suggestion.  What do you think? But I also like Arigato as well.
If we choose Arigato I can mention the quote in the foreword perhaps…


本のタイトルとして、その他の候補として考えていたのは、「State of wonder and Serenity」。
この言葉は、競技から引退して人生の新章へと向かう僕を表していると思う。サヨナラって告げるよりも雄弁にね。
未来を(夢見て信じ)追い求め、これらをもってして心穏やかに(そうなると僕は信じているんだけどね)。
…って、これはひとつの提案にすぎないんだけれど、どう思う? 
もちろん、「アリガトウ」(←スタッフからの提案のひとつ)も気に入っているよ。
もし「アリガトウ」にするとしたら、こんな前書きを添えるのはどうだろう?

        (以下「アリガトウ」の寄稿 ※本書『chapter TWO』に原文ママで掲載しておりますのでぜひご覧ください)


上記のジェフからのメールを見た瞬間、「ファンのみなさんは喜ぶだろうなぁ」と感激したと同時に、
悩ましい思いにかられました。ジェフが敬愛してやまないピアニスト、グレン・グールドは、
カナダはトロントに生まれ育ち、独自の感性をもって唯一無二のスタイルを確立したアーティスト。
ジェフが生まれた1982年の秋に50年の生涯に幕を閉じた伝説の人物です。
グールドを敬愛してやまないジェフは、2005-2006シーズンのフリープログラムで
「トリビュート・トゥ・グレン・グールド」を発表するなど、ファンのみなさんもその縁をご存知かと思います。

グレン・グールドの言葉の引用という発想は多いにアリ。しかし、タイトルとしては長すぎてしまう。
では、「State of wonder and Serenity」だったら? 
これも和書のタイトルとしてはやや長く、日本人への耳なじみという点でもハードルが高いように感じました。
「思い切って和訳バージョンだったらどう響く?」と視点を変えてみるも、
含蓄あふれる「wonder」と「serenity」を辞書どおりに訳すのでは、その世界を伝え切ることはできないように思いました。

あれこれと頭を悩ませ、スタッフ間で検討を重ねた上で出した結論は、「もっとキャッチーに」。
ジェフの思いを尊重し、この本のあり方などすべてを踏まえた上で、『chapter TWO』の案が浮かびました。

大好きなスケートにすべてをささげ、完全燃焼したアマチュア時代を経て新しい人生をスタートさせた彼を表す言葉。
プロスケーターとしてのキャリアはもちろん、ひとりの男性として、社会人として、
これからどのようなことにもチャレンジできる/いくつものチャプターを重ねていくことが可能な
今の状態を表現した言葉=chapter TWO.
スタッフ側の意図を説明し、ジェフ側からも最終的なOKをいただきました。

以上がタイトル決定までのいきさつとなります。
本書の発売にあたり、ジェフが思っていたこととして、心の片隅にとどめていただければ幸いです。

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コメント

『chapter TWO』このタイトルを見たとき、いよいよJeffの次のステージが始まるんだって思いました。

投稿: | 2010年3月21日 (日) 11時02分

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