「バトル基準」
(ジェフの写真チェックの模様をお届けします)
前日の撮影で撮り下ろされた写真点数は一万点以上。
その中からスタッフが粗選びして1500点近くまで絞り込んだものの中から、
ジェフとマネージャーさんにランク付けをしてもらいました。
作業の様子は、ジェフリー・バトル公式サイトのフォトギャラリーでご覧になれます。
英語サイトですがご了承ください。
【写真の場所】
公式サイト → Photo Gallery → 2009 Japanese Book Shoo(t)
(上から5列目のリンクです ※2009年10月25日現在)
編集サイドで絞り込みを行い、決めうちに近い形でチェックをお願いするほうがジェフの負担は減ります。
しかし、今回一日かけて撮影を行ってみて、ジェフが積極的に撮影に参加してくれたこと。
いい作品をつくりたいという高い志をもって臨んでくれたこと。
そして彼なりにファンのみなさんへ伝えたいものがあると感じて、
手間にはなるもののできるだけ多くの写真に目を通してもらうのがベストと考えました。
いざチェックをはじめると、ジェフならではの写真の選び方というのがあってとてもユニークでした。
多くのタレントやアーティストが写真を選ぶ基準はルックスで
顔、表情、髪型、体型、着こなしなどのビジュアルが最優先されます。
しかし、ジェフのポイントはというと、ポーズの美しさが最優先。
指先やつま先の曲線、そして写真全体のバランスなど、ときに客観的に
そしてときに何かをジャッジするかのようにチェックを入れていきます。
髪型や衣装など、作りこんだ写真には、
「自分にこんな表情があるんだね~」とややウケしながら。
そして動きを重視した写真では、イエス、ノーの判断をすばやく下します。
たとえば氷上での開脚ジャンプのカットでは、
「表情で選ぶならこっち。でも、個人的にはこっちなんだよね。ジャンプをしたときに、
手の指先が足についているほうが動きとして素晴らしいからなんだけど」など。
自分のビジュアルよりも、フィギュアスケーターとして正しい姿を選ぶスタンスに
ジェフのプロ意識の高さを感じました。
また、スタッフが気になった点についても本人に確認を。
「腕に傷があるのが見えるけれど、傷の処理はどうしよう?」
おそらくスケーターのトレードマークなのでしょう。
腕の内側には、スケート靴のエッジでできた傷があって、赤みをおびた写真だとそれが目立ちます。
「これはスケーターの証だからそのままで。気にしなくてもいいよ。
手首に近いけれど、アブない(本人曰く「スーサイダル/自暴自棄な」)傷じゃないから(笑)」とジェフ。
本書をよ~く見ると、いくつかのカットでそのスケーターの証が見え隠れしているかもしれません。
その後もチョイスに迷ったときはみなで多数決などを行いながら、
「絶対に掲載したいカット」などをマークしつつ、絞り込みを行いました。
ひととおりチェック作業を終えたところで、大切なことを思い出し、
ここで、あわててジェフにクエスチョン。
「表紙にするなら、どのカットがいいと思う?」
スタッフが思い描いていたのは、撮影のラストを飾った極寒氷上ポートレイトでしたが
ジェフ本人の意向はきちんと反映したいところです。
彼から「スケーティングのシーンで」というリクエストがあれば、スケーティングのカットから。
「ウィッグバージョンで」ということであれば、要相談かとも思いました。
結果は、ジェフとマネージャーさんのチョイスも、ラストの氷上ポートレイトでした。
この一致にはスタッフも思わず小躍り。しかし、使用写真については、意見が二分することに。
ジェフとスタッフは、『横顔+睡眠バージョン』
マネージャーさんは、『カメラ目線バージョン』
別のスタッフも目線アリの可能性を示唆しました。
「この横顔で、モノクロでもいいと思う。でも、モノクロだと去年カナダで出版した
写真集の表紙とイメージが似ちゃうかな?」とジェフ。
「氷上で、なぜかジェフくんが横たわって眠っていて、
なぜかうっすら微笑んでいる感じがいい」とスタッフ。
「 “これがジェフリー・バトルの写真集です”“ というアピールにおいては、
アイコンタクトがあったほうがいいように思うなぁ」とマネージャーさん。
表紙は作品の顔でもあるため、妥協せずに決めたいところです。
ここで、ジェフからひとつ提案がありました。
「デザイナーさんの手間にならなければなんだけど、
それぞれの写真を取り込んだ表紙案を出してもらって、どちらかに決めるというのはダメかな?」
まったく問題ありません。ということで、
表紙に関しては、後日2パターンからチョイスするということで即席の表紙会議は終了しました。
チェックに要した時間は3時間弱。前日のヘビーな撮影に加え、
写真のセレクトにも協力していただいたお2人には本当に頭が下がります。
そしてジェフとマネージャーさんからは、あらためて撮影クルーに対する感謝の言葉も。
「限られた時間で素晴らしい仕事をしてくれたスタッフのみんなに、
あらためてお礼を伝えておいてほしい。本当にありがとう」
思いがけないねぎらいの言葉、そのままお伝えさせていただきます。
こちらこそ、ありがとうございました!
▲撤収作業を行っている間、会議室のホワイトボードになにやら落書きをしていたジェフ。
ついつい書きたくなる気持ち、わかりますよね
帰り際、いくつかの編集部が入っているフロア全体を見渡して、
「もう夜も遅いけれど、彼らは何時まで働くの?」とジェフ。
そういえば、日本でこうした普通の職場を見る機会って、なかなかないですよね。
しかも、不規則を絵に描いたような出版の現場です。
「朝出社して夕方に帰る人もいれば、昼過ぎに出社して夜通し働いている人もいてまちまちで。
夜の7~8時台は感覚的にまだ遅い時間には入らないんだけどね」との答えに
「え、そうなの? それって働きすぎだよねぇ」と驚いていたのが印象的でした。
急きょ決まった学研訪問でしたが、
ジェフにとってはちょっとした”日本的社会科見学?”になったでしょうか。
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コメント
とっても楽しく、興味深いエピソードをありがとうございました!
「バトル基準」、なるほど~と思いました。
1万点以上の撮り下ろし、1500カットへの絞込み!
それをジェフの意向も取り入れながらあの1冊にまとめあげたのだと思うと、それだけで感慨深いです。
きっとステキな未公開写真がまだまだたくさんあるのでしょうね!
(欲を言えばそれを使ってカレンダーなんて作ってはいただけないでしょうか?笑)
ところで、ジェフはなんて落書きしているのでしょう?
気になります(笑)。
投稿: | 2009年10月26日 (月) 13時35分
Jeffカレンダーに1票!!(笑)
わたしも気になります。しかし・・字がきれいで・・驚いてます。
投稿: | 2009年10月26日 (月) 16時56分
でも、アイコンタクトも、うっすら微笑みバージョンも
表紙、準表紙になっている・・
結局どっちも捨てがたかったってことで理解します^^
Jeffのあの斜めの傷跡は、そういうことか・・
なんか、勲章のようで、大切な傷ですねぇ・・うるるる・・
投稿: | 2009年10月26日 (月) 17時00分
写真集のジェフはどれも素敵ですが、写真集に載らなかった中にも良い写真がいっぱいあるんでしょうね~。あ~~もったいない!!
前にどなたかも書かれていましたが、卓上カレンダーを是非作っていただきたいなぁ・・。あ、でも学研さんは出版社さんでしたね(笑)
ジェフの落書き、一行目はabcdef....qrstuvwxyzって書いてるような・・。
ははは、日本人が「あいうえおかきくけこ・・」って書くような感じですかね。
最初、もっと難しいことを書いてるんだと思いました(笑)
学研さんの新社屋はとても立派で、ジェフも驚いたのではないですか?
投稿: ねこ | 2009年10月26日 (月) 22時32分
私もジェフカレンダーに一票!!)
もしできたら是非、買いますっ(笑)
落書き私も気になります。何て書いてあるのでしょう??
1万点以上の中から1500に絞り込まれたのですね!すごいっ!!
他の写真も見てみたいです~(欲張りでごめんなさい
投稿: | 2009年10月27日 (火) 15時33分